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    他人の家の冷蔵を開けるのは、ちょっと抵抗があるけれど。 本人の許可が出ているのだから、気にしなくてもいいだろう。 缶ビール2本を残し、あとは冷蔵庫にしまった。 冷蔵庫の中は想像通りで、飲み物以外は何もなかった。 その事実に、少しだけホッとする。 調味料も揃っていないところを見ると、作ってくれる人は本当に居ないみたい。 ソファーに座り直したところで、リビングに田所さんが戻ってきた。 「お待たせ」 「いえ」 Tシャツにスウェットパンツの田所さんは、スーツの時よりもずっと若く見える。 少し乱暴にソファーに腰を下ろすと、缶ビールを手に取り「何に乾杯?」とわたしを見て笑った。
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