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     「じゃ、段ボールに」 嫌味を込めてそう言うと、田所さんはムッとしたように眉を吊り上げた。 しまったと思っても、もう遅い。 「可愛くないな」 そう呟いて、田所さんはビールのプルタブを開けると、ゴクゴクと先に飲み始めてしまった。 「…………」 怒らせてしまったみたい。 わたしもビールを手に取り、プルタブを開ける。 ゴクリと一口飲むと、苦味が口の中に広がった。 そんなことで怒らなくてもいいじゃない。 そう思う反面、少し調子に乗ったかなと反省していた。 「うそ」 「え?」 田所さんを見ると、目を細めてクスリと笑う。 「さっき、『可愛くない』と言ったこと」
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