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    「俺の部屋に着いてきたってことは」 田所さんは、わたしが手に持っていた缶ビールを引き抜くとテーブルに音も無く戻して。 それから、わたしの手を握った。 骨ばった指がわたしの指に絡まると、それだけで何も考えられなくなってしまう。 目の前に影ができたのは、田所さんがわたしに近付いたからだ。 「ま、待って」 「何もしないよ」 そう言いながら、田所さんはわたしを引き寄せた。 切れ長の瞳に見詰められると、そうすることが当たり前のように、わたしは瞳を閉じた。 酔っているのかもしれない。 間近で聞こえる息遣いに、胸が苦しくなる。
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