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このまま、好きになればいい。
きっと、田所さんはわたしを大切にしてくれる。
田所さんに、彼女は居なかった。
だったら、迷う理由なんて、何も無いじゃない。
シートに凭れ掛かって、小さく息を吐いた。
……キスして欲しかった。
もっと強引にわたしを奪って欲しかった。
そうすれば、わたしは躊躇わず、田所さんの胸の中に飛び込んでいけたのに。
そんな想いが頭を掠めたときだった。
pipipipipipi,pipipipipi
わたしのバッグから電子音が鳴り響く。
携帯を取り出して、液晶画面を見た瞬間、わたしの気持ちは、一気に引き戻されてしまった。
……敦士。
どうして、このタイミングで電話をかけてくるの?
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