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「来週の土曜日だったよね?」
『ああ』
さり気なく話を戻すと、静かな相槌が返ってきた。
見えなくても、敦士が今、どんな表情をしているのか、わかるような気がする。
『美咲』
「今、外だから……」
遠まわしに電話を切りたい旨を伝えると、敦士は「わかった」と言ったきり黙りこんでしまった。
意識が携帯から僅かに感じる敦士の息遣いに集中する。
今すぐ、敦士に逢いたい。
そんな言葉が滑り落ちてしまう前に、電話を切らなくちゃ。
そう思うのに、わたしは電話を握り締めるだけで、何も出来ずにいた。
沈黙が二人の距離を示しているように感じた。
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