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タクシーに乗って、行き先を告げるとシートに凭れかかって瞳を閉じた。
「大丈夫?」
「なんとか」
敦士から離れてホッとすると、急に酔いが回ってしまって。
断り続けていたものの、結局は田所さんに送ってもらうことになってしまった。
少し気持ちが悪い。
お水を飲んで落ち着いたら、メイクを落として直ぐに寝てしまおう。
今夜は、本当に疲れた。
二人の楽しそうな声が頭の中で何度もリピートされる。
マイカちゃんは、敦士のことを『敦士くん』と呼ぶようになっていた。
それだけ、親密になったということだ。
瞳を閉じたまま、フーッと大きく息を吐く。
早く眠ってしまいたい。
そして、今夜のことは忘れてしまいたい。
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