7.

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   「……さん……」 「……吉川さん、起きて」 「んっ?」 優しく肩を揺すられて、重たい瞼を持ち上げる。 と、視界一杯に心配そうにわたしの顔を覗き込む田所さんのドアップが飛び込んできた。 「キャッ」 慌てて飛び起きると、田所さんは 「待たせて、ごめん」と申し訳なさそうに眉を下げる。 田所さんは、今戻ったばかりなのだろう。 スーツ姿のままネクタイも緩めずに、わたしを優しく見下ろしている。 「いえ、わたしこそ、勝手に寛いでごめんなさい」 そう言うと、田所さんはフッと微笑んで 「ぐっすり眠っていたね。疲れてるんじゃない?今日は、飲むの止める?」とわたしの隣に腰を下ろした。
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