7.

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     田所さんは、ジャケットを無造作に脱いで、ネクタイに手を掛ける。 それから、田所さんの長い指が器用にネクタイを引き抜いた。   そのネクタイを外す田所さんの仕草が妙に色っぽくて、思わずドキリとしてしまう。 そのまま見惚れていると、不意に目が合った。 たったそれだけのことなのに、言いようも無いくらい鼓動が高鳴っていく。 顔が赤いかもしれない。 それを誤魔化すように早口で捲くし立てた。 「コ、コンビニで色々買ってきたんです。せっかくだから、飲みましょう?週末ですし」 「何を買ってきたの?」 「ビールと酎ハイ、それから、焼きビーフンに地鶏の炭火焼、あとは、枝豆とチーズ」 「そんなに?」 「多過ぎました?」 「いや、俺もコンビニでソース焼きそばと餃子とから揚げ、デザートにシュークリームを買ってきたからさ」 顔を見合わせて、どちらからでもなく、声を出して笑う。 「誰がこんなに食べるんだ?」 「わたし達ですよ」
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