7.

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   「なに?」 田所さんが真っ直ぐな瞳でわたしを見詰める。 だから…… 言葉にして伝えようと思った。 「わたしと、付き合ってください」 「喜んで」 その声が鼓膜に響くと同時に、わたしは田所さんに引き寄せられていた。 鼓動が激しく打ち鳴らし、胸が苦しくなる。 顔を上げるタイミングがわからずに俯いていると、田所さんが「美咲」とわたしの名前を呼んだ。 『美咲』 ずっと、その唇でわたしの名前を呼んでいて。 わたしの頬を撫でる指が降りてきて、そっと顎を持ち上げる。 自然と重なる唇に甘い吐息が漏れた。
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