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角度を変えて何度も繰り返すキスに、心も身体も溶かされていくみたい。
もうこのまま、抱いて欲しい。
田所さんの体温を感じたい。
酔っているのか、そんな想いに囚われる。
田所さんの甘い舌がわたしから言葉を奪う度、切ない吐息で伝えようとするけれど。
結局は、それすらも、かなわない。
唇が完全に離れた頃には、思考が上手く働かず、わたしは田所さんの胸にくたりと凭れ掛かってしまった。
そんなわたしを見下ろすと、田所さんは困ったように言葉を零した。
「その表情、本当マズイ」
余裕が無いような田所さんの声に、胸が疼く。
田所さんの唇に付いたグロスを指先で拭ったのは無意識だった。
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