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「美咲、もうベッドに行こう」
余裕が無い田所さんの声に、切なさで胸が苦しくなる。
誰かに求められるのは、とても幸せなことだと感じた。
黙って頷くわたしを立たせると、唇に触れるだけのキスをする。
それから、田所さんはわたしの膝裏を掬って抱え上げた。
突然のことで、「きゃっ」と声を上げて、田所さんの首にしがみつく。
そんなわたしに、田所さんは優しい笑みを浮かべる。
「そのまま、じっとして」
「待って、下ろして」
「いいから」
「違うの、シャワーを」
急に冷静になったわたしを田所さんは、フッと軽く笑い飛ばした。
「あとで一緒に浴びればいい」
その言葉にうろたえて、「ダメ」と慌てて首を横に振ったけれど、何を言っても聞き入れてはもらえなかった。
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