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はじめて入る田所さんの寝室は、意外にも綺麗に片付いていて。
今日のことを想定していたんだと思うと、くすぐったい気持ちになった。
そっと、わたしをベッドに寝かせると、田所さんはわたしを見下ろすように覆いかぶさった。
忽ち視界が田所さんで一杯になる。
切れ長の黒い瞳が無言でわたしを見詰めている。
それだけで、息が上がってしまいそう。
照明をシェードランプに切り替えると、田所さんの色気が途端に増したように感じた。
息を呑んだのは、きっとわたしの方。
「イヤなら、止めようか?」
柔らかい光の中で、田所さんが意地悪に囁く。
「そんなつもりも無いくせに」と言えば、田所さんはわたしの耳元でクスリと笑って、それから焦らすように耳朶を甘く噛んだ。
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