7.

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   田所さんがバスルームから出て行くと、ホッと安堵の溜め息をついた。 田所さんが、こんなに強引な人だと思わなかった。 不思議とそんなにイヤじゃないけれど、一緒にシャワーは流石にまだ早いと思う。 がっかりされたかもしれない。 だけど、わたしはもう少しゆっくり、田所さんとの距離をつめていきたい。 そう思うのは、ワガママなのかな。 シャワーを終えて外に出ると、田所さんはバスタオルを腰に巻いただけの格好でテレビを見ていた。 「すみません、お待たせしました」 わたしを見上げる田所さんには、さっきまでの甘えた雰囲気はもう無くて、「待ってて」と言うと、バスルームに姿を消した。 田所さんを待っている間、ドライヤーで髪を乾かしていた。 ふと、バッグの中から点滅している光が見えて、携帯を取り出すとメールを受信しているようだった。 「……あ、まただ」 この前からの迷惑メールが二通。 やっぱり、アドレスの間違いじゃないのかな。 内容を確認するのも面倒で、そのまま読まずに消去した。
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