7.

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   「この合鍵は……」 「持っててよ」 「いいんですか?」 「要らないなら、返して」 田所さんが、口元を歪めて意地悪な顔をする。 「返しません」 慌ててそう答えると、田所さんは 「出来れば、来る前に連絡ぐらいは欲しいけどね。掃除しておかないと、美咲に叱られそうだし」と笑った。 信号が青に変わり、ゆっくりと車をスタートさせる。 わたしは、そのスッキリと整った横顔を見詰めながら、幸せな気分に浸っていた。 わたしのマンションの前に車を停車させると、田所さんはサイドブレーキを引いてシートベルトを外した。 それから、助手席に身体を乗り出して、わたしの顔を見詰める。
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