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明日、わたしは田所さんの部屋に行く。
その約束が、急に現実味を増した気がして鼓動が早くなる。
「森田課長が事件を起こさなければ」
それを誤魔化すように、冗談交じりに軽く言うと、田所さんは安心したように柔らかく微笑んだ。
「あはは、今日も大変そうだったね」
「本当ですよ、まったく」
しばらく笑っていると
「俺、明日終日外なんだよね」
そう言って、田所さんはポケットから取り出した何かをわたしに手渡した。
「これ……」
掌に乗せられたものを思わず凝視してしまう。
「うん。合鍵」
田所さんは照れたように笑うけど。
こんな大切なものを簡単にわたしに渡してもいいの?
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