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ユウの申し出を断ると、唇に軽くキスをして車を降りた。
「何かあったら、直ぐに電話して。いいね?」
「うん。ありがとう」
「じゃ、見てるから」
エントランスに入る前、チラリと振り返ると、心配そうにこちらを見ているユウと目が合った。
ユウに向かって、軽く手を振る。
傍に居てくれる。それだけで心強かった。
郵便受けは、見なかった。
深呼吸をして部屋に入ると、素早く部屋中をチェックして、ユウに電話をかけた。
『どう?大丈夫?』
電話越しのユウの声は、普段聞く声より少しだけ低い。
「うん、大丈夫。ごめんね、ちょっと大袈裟だったね」
『いや、美咲が心配だから。俺に出来ることは、何でも言って』
返ってきたユウの言葉が優しくて。
その夜は、久しぶりに自分の部屋で安心して眠った。
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