420人が本棚に入れています
本棚に追加
夕食の片付けの後、コーヒーを飲んで寛いでいると、いつの間にか九時を過ぎてしまった。
そろそろ帰らないと……。
おそろいのマグカップをテーブルに戻して、ユウを見る。
「これ飲んだら、帰るね」
「ああ、もうそんな時間か」
ユウはテレビを見たままで、ボソリとつぶやいた。
なんだか冷たい。そう感じて、ユウの掌を軽く抓る。
「痛っ、なに?」
不機嫌そうにわたしを睨むユウに、唇を尖らして抗議する。
「もうすぐ帰るのに、ユウはテレビばっかり視てる」
そう言うと
ユウは「なんだよ」と言いたげに笑って、子供にするようにわたしの頭を撫でた。
「来週、また泊まりにおいで」
「……来週は、多分無理なの」
あと数日で、月に一度のアレになってしまう。
そんな時に、男性の一人暮らしの部屋には泊まれない。
最初のコメントを投稿しよう!