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「だ、誰?」
『そんな寂しいこと、言うなよ』
低くてザラザラした声。
特徴はあるのに、いくら考えてもこの声の主が誰だかわからない。
電話の向こうで、男がクククと声を押し殺して笑った。
「い、嫌がらせは止めてください」
携帯を持つ手が震えて、掌が汗ばんでいた。
『好きだよ』
「止めて!」
冷静に対処するつもりが、ヒステリックに叫んで電話を切っていた。
イヤだ。気持ち悪い。
携帯の電源をオフにして、これからどうしようかと部屋の中をウロウロと歩きながら考えていた。
封書は開封せずに、日付を記入して全て取ってある。
メールもホルダーに移して保存してある。
でも、警察に行ったところで、この程度じゃきっと何もしてもらえない。
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