10.

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   「お前、付き合ってるときも俺に全然甘えなかっただろ。 だから……。 って、俺は何を言ってるんだろうな」 「…………」 何も言えなかった。 敦士と恋人だったころのわたしは、強がってばかりいた。 でもそれは、女の自分を見せて、敦士にがっかりされるのが怖かったからだ。 男とか女とか親友でいるときは関係なくても。 恋人となれば、まるで違う。 わたしは、いつまでも敦士の特別でいたかったのだ。 「行くか」 「……うん」 車は敦士のマンションに向かって走り出す。 着くまでわたし達は無言だった。
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