14

34/35
407人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
   返信は後で送ることにして、携帯をバッグにしまって、ユウの元に戻った。 「そろそろ帰ろうか」 時計をチラリと見たユウが名残惜しそうに言う。 「もうそんな時間なんだ」 楽しかった休日も、あと少しで終わってしまう。 そう思うと、急に寂しくなってしまった。 ……もっと、ユウと一緒にいたい。帰りたくない。 デート中に、こんな気持ちになったのは久しぶりだった。 「美咲?泣きそうな顔して、どうした?」 「えっ?あ、ううん。なんでもない」 心配そうにわたしの顔を覗き込むユウに笑ってみせて、甘えるようにユウの腕に自分の腕を絡めた。 水族館を出て駐車場まで腕を組んだまま歩く。 「雨が降らなくて良かったね」 「俺、晴れ男だから」 「あはは。そうなんだ」 「美咲」 「うん?」 「今みたいに、甘えてくれたら嬉しい」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!