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その日わたしは、ユウの部屋で急遽休日出勤になってしまったユウの帰りを待つことになっていた。
時間がはっきりしないなら、料理を作って待ってるねとメールを打ち、スーパーで食材を買って、ユウのマンションに向かった。
今では、外食するよりもお互いの部屋で食事をすることが多くなっていた。
そして、ユウの部屋には、わたしの荷物が少しずつ増えていって。
勿論、わたしの部屋にもユウの荷物が。
これなら、同棲した方が楽だったかもしれないと、言葉にすると急に現実味を帯びてしまうから、その先は言えずにいるけれど。
もし、今度、そんな話が出るとしたら、その時はきっと……。
ユウも同じ気持ちで居てくれたらいいなと、わたしは心から願っていた。
だから、まるで想像もしていなかった。
この穏やかな日々が、一瞬で終わってしまうような出来事が起こるなんて。
「……あの」
ユウのマンションの前で、不意に呼び止められた。
遠慮気味な細い声。
反射的に振り返ったわたしが見た人は……。
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