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彼女の前を歩きながら、言いようのない不安に飲み込まれそうになっていた。
ユウに早く帰ってきて欲しい。
そう思う反面、ユウと彼女を会わせたくない気持ちもあった。
エレベーターに乗り込むと、二人きりの狭い空間に息が詰まりそうになる。
どうして、今になって彼女が現れるの?
どうして……。
考えると涙が滲んでしまう。
その先は、一人では聞きたくない。
彼女を見れば、わかること。
そう。彼女は、妊娠しているのだから。
合鍵を使って、ユウの部屋に入った。
「どうぞ」と彼女をソファーに促して、キッチンに向かった。
何か飲み物を出さなくちゃと思うけれど、手が震えてものが手につかない。
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