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シンクに手をついて、気持ちを落ち着かせる為に大きく息を吐く。
……ユウに連絡を入れなくちゃ。
このまま彼女と二人きりで、ユウの部屋に居るなんて耐えられない。
彼女に背を向けて、バッグから携帯を取り出した。
ユウ、わたしは、どうすればいいの?
今ユウの声を聞いてしまうと、涙が零れてしまいそうで、わたしは仕方なく震える指でメールを打った。
どれぐらいの時間が経ったのか。
ほんの数分のようで何時間も経ったような気もする。
彼女に温かいお茶を出したけれど、それはすっかり冷めてしまって。
重苦しい沈黙が、わたしの上に圧し掛かっていた。
「突然訪ねてきて、ごめんなさい」
彼女が徐に口を開く。
「いえ……」
つぶやくように答えて、彼女に視線を向けた。
一瞬、彼女が誰かわからなかった。
道でも訊かれるのかと思っていた。
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