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   「次は、吉川さんですね」 耳元で囁く川原さんに「ちょっと!」と慌てて口止めをする。 わたしとユウが付き合っていることは、川原さんしか知らない。 余計な詮索をされるのがイヤで、秘密にしようとユウと約束をしていた。 その約束をユウはずっと守ってくれている。 「本当は、システムが移行して落ち着くまで働きたかったんですけど……」 申し訳無さそうに眉を下げる川原さんに、安心させるように笑って見せた。 「引継ぎ書も作ってもらったし、三田さんも覚えが早いし、大丈夫だと思うから、こちらのことは気にしないで」 「わたし、吉川さんと働けて嬉しかったですぅ」 「やだ、ちょっと泣かないで!」 そんなことを言われたら、わたしまで涙腺が緩んでしまう。 「だって、吉川さぁん」 「それ以上、言わないでっ」 慌ててハンカチを取り出して、川原さんに握らせた。
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