15

21/29
前へ
/29ページ
次へ
    「美咲……」 掠れたユウの声。それが、わたしをより不安にさせる。 縋るようにユウを見詰めると、ユウはわたしの手をギュッと握り返して、彼女に向き直った。 「俺に、話があるって?」 そう言って、ユウはわたしの隣に腰を下ろした。 ドクンドクンと波打つ鼓動で胸が苦しい。 握りしめたユウの手からも緊張が伝わる。 ソファーに座っている彼女は、わたし達の方に身体を傾けて、ユウだけを真っ直ぐに見詰めた。 それから、ゆっくりと口を開いた。 「わたし、ユウの子供を妊娠しているの」 「……っ」 「……」 頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

305人が本棚に入れています
本棚に追加