305人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
気がつけば、フラフラと立ち上がって彼女を見下ろしていた。
「……何ヶ月、ですか?」
「八ヶ月になったところよ」
そんなことを聞いても、何がどうなるものでもないのに。
それでも、訊かずにはいられなかった。
あのとき、ユウは彼女を抱いた。
もしかすると、その後も……。
ユウに愛された記憶が音を立てて壊れていく。
優しい時間が、手のひらから砂のように零れていく。
もう戻せない。戻らない。
終わってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!