15

27/29
305人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
    もう、何も聞きたくない。 わたしがここにいる理由もない。 早く一人になりたくて、バッグを手に取り、逃げるように玄関に向かった。 「美咲!」 ユウが切羽詰った声でわたしを呼び止める。 今更、何を言うつもりなの? わたし達は、どうにもならない。 それは、つまり別れるしか無いってことだ。 ドアノブに手を伸ばし、ギュッと握り締めた。 そうしないと、崩れ落ちてしまいそうだったから。 「美咲、待ってくれ」 「もう、無理よ」 「頼む、俺の話を」 「いやっ!」 わたしの腕を掴んで、引き戻そうとするユウを力任せに突き飛ばした。 よろけたユウを睨みつける。 どうしてなの? どうして、こうなるの?
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!