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数時間前のわたしは、こんなことになるなんて、想像もしていなかった。
先週と同じように、わたしの手料理を食べてお酒を飲んで、楽しく過ごすはずだった。
同じベッドで眠って、朝は一緒に目覚める。
そんな週末が続いていくと思っていた。
まさか、こんな突然に壊れてしまうなんて。
「……行かないでくれ……」
搾り出したようなユウの声が、わたしの胸を締め付ける。
お願いだから、止めて。
それ以上、何も言わないで。
「……ユウの赤ちゃんが、生まれてくるのよ。それなのに、わたし達が一緒にいられるはずがないじゃない」
「美咲」
「もう、止めて」
「……本当に、すまない」
わたしに伸ばされたユウの手が、わたしに触れることなく離れていった。
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