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「それでさぁ」
アルコールが入って、饒舌になった森田課長の自慢話が続いている。
この前のゴルフのスコアが余程嬉しかったらしい。
まぐれまぐれと言いながら、18番ホールのラインがどうだとか、ドライバーはどこの製品が一番いいだの上機嫌だ。
わたしは適当に相槌を打ちながら、ビールをチビチビと舐めるように飲んでいた。
ユウはわたしの隣に座っている営業部長と仕事の話をしている。
低くも無く、甘くもないユウの声。
それを出来るだけ聞き流すように努めていた。
だけど、話題が今回の転勤になったとき、ビクリとわたしの肩が不自然に揺れてしまった。
「あ……」
視線がわたしに集中する。
「ぶ、部長、焼酎のお代わり作りましょうか?」
「ああ。じゃ、頼むよ」
慌ててグラスを持つと席を立つ。
丁度自分の焼酎を作っていた営業に、部長の分も頼んでトイレに向かった。
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