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こうして二人で話をする機会はもうないだろう。
それなら、何かはなむけの言葉でもと思うけれど、何を言えばいいのかわからない。
わたし達が別れることになったあの日から、わたしはユウを拒絶するばかりで、自分の気持ちを何も伝えていなかったような気がする。
もし、あのとき。
二人で乗り越える道を選んでいたら、わたし達はどうなっていただろう。
もし、あのとき。
ユウに泣いて縋っていたらどうなっていただろう。
でも、それは、『たられば』でしかないのだ。
ユウは、彼女と結婚して父親になった。
子供は可愛いと言っていたのを人伝に聞いた。
今は、それでいいじゃないかと思う。
だったら、わたしに言える言葉は一つだけ。
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