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「ずっと、俺は美咲に何が出来るだろうと考えていたんだ」 そこで言葉を区切って、ユウは申し訳なさそうに目を伏せた。 それから、何かを吹っ切るように息を吐くと、直ぐな黒い瞳でわたしを見詰めた。 「美咲の前から、姿を消すことにしたよ」 「……え?」 意味がわからずに聞き返すと、ユウは苦笑いを浮かべて言葉を続けた。 「と言っても、会社を辞めるわけにもいかないから、適当な理由をつけて異動願いを出した。根回しもしている。恐らく次の人事で決まると思う」 ユウが、わたしの前からいなくなる? 「あの、」 「こんなことしか、出来なくてすまない」 ちょっと待って、そうじゃなくて……。 「俺の顔なんて見たくもないだろうけど、もう少しだけ我慢して欲しい」 「……ユウ」 「あ、一分過ぎたな。仕事の邪魔してごめん。マグカップも」 「ううん」 だけど、待って。
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