17

1/36
前へ
/36ページ
次へ

17

黒いスチール製のドアを押して店内に入る。 最近では、週末の恒例となっている映画の後の一杯。 一人でバーに行くなんて、少し寂しい気もするけれど、これが休日の一番の楽しみになっていた。 「こんばんは」 「いらっしゃい」 カウンターの向こうからノブさんが笑顔で応える。 それと同時に、カウンター席にいる女性客が振り返ってわたしを見た。 きっと、ノブさん目当てのお客だろう。 お邪魔だったかな?と思いつつ、ノブさんに促されるまま、カウンター席に座った。 「今日は、何の映画?」 「ノブさん、知ってるかなぁ。すっごくマイナーなSFものなんだけど」 「知らない」 作品の説明をする前に間髪入れず答えるノブさんに苦笑い。 「先ずは、ビール?」 「うん。お願いします」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

764人が本棚に入れています
本棚に追加