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   常連客でも見つけたのか、ノブさんの視線が、わたしからドアへ移動した。 ここのバーは、ビルの一階にある。 通りに面してガラス張りになっている為、カウンターの中からは、外が丸見えになっているのだ。 ドアが開く音がした。 お客さんが、入ってきたようだ。 「いらっしゃい」 「どうも」 聞き覚えがあるような男性の声に、ハッとして顔を上げた。 この声って? 「隣、いいか?」 「あ……」 ポカンとして見上げる視線の先には、敦士が立っていた。 敦士に会うのは、ファミレスで別れた以来だ。 ということは、一年近くも会ってなかったんだ。 懐かしい反面、気まずさもあって、何も言葉が出てこない。 敦士は、わたしの返事を待たずに、隣の席に腰掛けた。
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