好きって言えない

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夕方になって約束のレストランに到着した。 今まで一度も連れて来てもらったことがないような、お洒落なお店である。 すごく楽しみな反面、緊張がピークに達して、気持ち悪くなってきた。 さぁいよいよだ。頑張れ私。 ドアを開けて中に入るお父さんの後を着いていく。 ダメだ。緊張で吐きそうになってきた。 あっ、あの人たちだ。 四人掛けのテーブルに、こちらに背を向けて並んで座っている男女がいる。 おそらくあの人たちに違いない。だ、だ、大丈夫。普通の人たちっぽいから。 「あっ、予約の花木ですが」 お父さんがお店の人に声をかけた。 「ああ、こちらです。どうぞ」 そう言われていざなわれた席は、やっぱり予想通りのところだった。 「お待たせしてすみません」 お父さんが謝ると、座っていた二人が立ち上がってこっちを向いた。 「嘘!」 二人の顔を見た瞬間、私は人目もはばからずに大きな声を出してしまった。
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