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予約を入れていたから、すぐに料理が運ばれてきた。
「こちらオードブルでございます」
オードブルって何? お皿に一口サイズの料理が、五品ほど乗っかっている。
よく分からないから、他の人の様子を伺った。
先輩は「いただきます」と言うと、すぐにフォークをとって、食べ始める。
ようやく睨まれた状態から回避されたので、私はホッとして同じようにフォークを取った。
美味しそうな料理。
が、しかし……もう緊張し過ぎていて、何を食べてるんだか分からなかった。
お父さんが先輩に向かって話しかけるけど、先輩は「はい」とか「ええ」って言うばかりで、会話が続かない。
大好きな先輩がこんなに近くにいるのに、私はこの場から逃げ出したかった。
もしお父さんと瑞希さんが結婚したらどうなるんだろう?
先輩と一つ屋根の下で暮らすんだよね? やっぱり。
うちは築50年のボロボロな平屋で、間取りで言うと2LK。つまり両親の部屋と私の部屋しかなく、そこに四人で暮らすとなると、お父さんと瑞希さんが一つの部屋を使い、私と先輩が……。
私は自分の想像で、真っ赤になってしまった。
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