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「良かった……。反対されたらどうしようかと思った」
お父さんが、フーっと息を吐く。
「あの……」
「何だ季菜?」
「結婚したらどこに住むの?」
ずっと気になっていることを聞いてみた。
「そうか、そうだよなぁ、それって大事なことだ」
「うん。そうだよ。うちは狭くてボロいから、四人で住むのは厳しいよ」
「確かに……。そういえばそんな話を全然してなかったね」
お父さんが瑞希さんに向かって言った。
「そうね」
「うちで良いんじゃないの。とりあえず部屋は一つ余ってるんだし、花木さんと母さんが一つの部屋で我慢すれば問題ない。もっとも一年辛抱してくれれば、来年の春には俺が出て行くけどね」
「そうねぇ。そうしない?」
瑞希さんがお父さんに問いかける。
「いや、君たちが迷惑じゃないのなら、こちらとしては何も」
「じゃあ決まりね」
瑞希さんは嬉しそうに笑った。
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