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さっきまで幸せ気分を満喫していたのに、蓮花に言われてからずっとブルー。
もし先輩が悠木先輩と別れて、私を好きになってくれたとしても、結婚出来ない関係。
結婚も出来ないのだから、当然付き合うことだって出来ない。
「はぁ~」
もう何度目か分からないため息が漏れた。
一時間目の授業中も、勉強なんか全く頭に入らず、先輩のことばっかり考えていた。
授業が終わり少し経ったとき、廊下がざわざわする。
まるでアイドルにでも遭遇したような、女の子の悲鳴まで上がった。
何? 何があるの?
私は教室の入り口を見つめたまま、固まってしまった。
源之助先輩が入り口で、同じクラスの女の子に話しかけている。
そしてその女の子が、振り返って私を指差した。
その指先を追った先輩の目が私と合う。
「季菜ちゃん!」
先輩は嬉しそうに微笑むと、私に向かって手招きをした。
「え、何? 何?」
クラスメイトが全員私に注目する。
普段から人に注目されることのない私は、真っ赤になりながら、席を立って先輩のもとに向かった。
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