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周りの視線が痛い。
小学校の時に、無理やり弁論大会にクラス代表で出場させられて以来の、人前で好奇の目に曝されるという状況。
そういえば好奇の目に曝されるのって、こんな気持ちなんだと、改めて実感した。
「あの、何でしょうか?」
またまた普段の私じゃありえない程の小さな声。
「あのさぁ、季菜ちゃんって帰宅部だったよね?」
「はい。家事をしなきゃならないので」
「そっか、じゃあさぁ、突然で悪いんだけど、今日の放課後季菜ちゃんちに行ってもいい?」
「へ? な、な、何で?」
「季菜ちゃんとお父さんのこと、もっと知りたいし、君のお父さんと二人だけで話したいこともあるし」
「えっ、それはどんな?」
「ゴメン。それは言えないよ。男同士の話だから」
「そうですか……」
「ってことだからいいよね?」
「ええ、まぁ」
「じゃあ今日は俺、部活サボるから一緒に帰ろう」
ニコッと微笑む先輩の顔に、ドキッとする。
「はい」
私は顔をひきつらせて頷くことしか出来なかった。
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