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二時間目の授業が終わってすぐに、下げたくもない頭を下げて回ったから、何とか許してもらえたけど、ちょっと距離を置かれた感じは否めない。
そして私が先輩と兄妹になるという噂は、光の速さで全校を駆け抜け、いちやく時の人となってしまった。
休み時間の度に、いろんな人が見に来るのだ。
「え~あの子? 何だ大して可愛くないじゃん」
「うん。全然普通」
いや、おい、待て! 私が先輩に選ばれたとかなら、その台詞は分かるけど、ただ親同士が結婚することになっただけだってば。
頭が痛い……。
そしてドSの蓮花は、ずっと楽しくて仕方がないと言わんばかりの笑みを浮かべている。
もう、何なのよ。だいたい先輩が教室まで押しかけてくるからイケナイんだよ。
こんなことならメアドか、LineのIDを聞いておけばよかった。
先輩のLineのIDかぁ……。みんなが欲しがるLineのID。
私は妹になるんだから、きっと教えてくれるよね?
みんなが欲しがっている希少価値のあるモノを手に入れる。
それって特別みたいで嬉しい。
今日先輩にお願いしてみよう。
コロコロ変わる私の頭の中の天気は、急にまた快晴になった。
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