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「ここにいたんだ? いやぁー探したよ」
「え? そうだったんですか?」
「うん。季菜ちゃんの教室に行ったら、君のクラスの子に捕まって、質問責めにされちゃってさぁ」
「ごめんなさい」
「いや、いや、全然季菜ちゃんが謝ることじゃないよ。それより行こうか」
「はい」
先輩に促されて歩き始める。
すごいよ私。
ずっと遠くから見つめるだけだった先輩と、肩を並べて歩いてるなんて……。幸せだなぁ。このまま時間が止まらないかなぁ……。
そうすれば、兄妹は恋愛出来ないとか、先輩に彼女がいるとか、そんなこと気にせずに、ずっと先輩の顔を近距離で見つめ続けていられるのになぁ……。
先輩と並んで歩いていると、ああやっぱり先輩ってモテるんだって分かる。
だって通りすがりの女の子が、みんな横目で先輩を見るから。
そして露骨に、こんな女と付き合ってるの? もしかしてこのイケメンくんは、ブス専なの? それとも博愛主義者? そんな目で見てくる。
やっぱり先輩と付き合おうと思ったら、悠木先輩みたいな美人じゃなきゃ、周りが納得しないのだろう。
そしてまた、私の口からため息が漏れた。
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