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「あの……」
「ん?」
「夕飯の買い物をしなくちゃならないんですけど……」
私の誘導で自宅に向かいながら、いつものスーパーの前で私は恐る恐る切り出す。
「ああ、そうなんだ? ここに寄るの?」
「はい」
「そっか、今夜は何を作るの?」
「えっと……いつもその日の安いものを見て、ここ数日のメニューと被らないように決めます」
「へぇ~その場で材料を見て思いついたものを料理できるなんて、季菜ちゃんってすごいね」
「えっ、全然そんなことないです」
せ、先輩に褒められちゃったかも。超嬉しい。
「君はうちの母と同居することで、家事の負担が減ると思ってるようだけど」
「え?」
「ハッキリ言って、うちの母さんは女子力低いよ」
「え? そうなんですか?」
「冷蔵庫の中の余りモノで、創作料理をなんてのは無理な人だから……」
「そうなんですか……」
もしかして、恐れていたシンデレラの継母パターン? それはキツいぞ。
「いや、もちろん基本的にはうちの母さんが家事をすると思う。ただ……あまり過剰な期待はしないでやってね」
先輩は申し訳なさそうに言った。
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