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先輩と二人でスーパーで買い物。
新婚さん夫婦みたい……。なんてね。
うちのお父さんは欲しいモノだけ買うっていう買い物スタイルで、ダラダラとウインドウショッピングをするのを嫌うから、男の人ってみんなそうなのかと思ってたけど、先輩は私の買い物に合わせて、ずっと会話を合わせてくれる。
いつも一人でする買い物が、今日はあり得ないくらい楽しかった。
先輩。大好きです。ずっとずっとこうやって、一緒に過ごしていたいです。
買い物の間中、私は心の中でそう呟いていた。
買い物を終わらせて自宅へ向かう。荷物は全部先輩が持ってくれた。
もう本当に、惚れるなって言う方が無理だよ。
今から先輩がうちに来る。一応部屋の中は片づけているけど、建物自体がボロボロだから、ちょっと恥ずかしいよ。スーパーを出て三分ほどで自宅に到着した。
「あの、ここです」
「へぇ~」
そんなに見ないでください。恥ずかしいから。
「季菜ちゃんはずっとここで育ったんだね」
「はい。お祖父ちゃんの頃から、住んでるんです」
「そっか」
「あの、散らかってますけど、どうぞ」
私は玄関の鍵を開けると、先輩に向かってそう言った。
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