好きって言えない

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「とりあえずお茶入れますね。あっ、コーヒーの方が良いかな?」 「ああ、何でもいいよ。お構いなく」 私は買って来た荷物をキッチンに運ぶと、まず一番に先輩の為のコーヒーを淹れる作業に取り掛かった。 ふと先輩を見ると、結構ジロジロうちの中を見回している。 やめてぇ~~~~恥ずかしいよ~~~~。 私は大急ぎで買ってきた食材を冷蔵庫にしまった。 そういえば、昨日のことを謝らないと……。 「あの」 「ん?」 「昨日はすみませんでした」 「昨日って?」 「いや、あの……悠木先輩の事を秘密にしてたみたいだから」 「ああ、そのことか。もういいよ。バレちゃったから、今更だよ」 「すみませんでした。でも、何で秘密に?」 「それは……だって君だって」 「え?」 「季菜ちゃんは彼氏いないの?」 「えっ! い、いません」 「そうか……。君のお父さんって、そういうこと聞いて来ない?」 「いえ、全然。たぶん私がモテないこと分かってるんだと思います」 「そう? 季菜ちゃん可愛いから、そんなことないと思うけど」 「全然です! 全然可愛くないです!」 慌てて全否定をしながら、先輩に可愛いと言われたことが嬉しくて仕方なかった。
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