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残念ながらうちには、男の子が喜びそうなゲームなどの類は何もない。
スマホのゲームくらいである。
「あっ、そういえば先輩。LineのIDって教えてもらえませんか?」
「ん? ああ、いいよ」
先輩がポケットからスマートホンを取り出す。
やった! 先輩のIDゲット!
「さっそく送っていいですか?」
「うん。いいけど」
私は嬉しくて、先輩にお礼の文章を打ち込んで送った。
「ところで、先輩は東京の大学に行くんですよね?」
「ああ、志望校は全部東京だよ」
「そうですか……」
「何で?」
露骨にガッカリした顔をしてしまった。ヤバい。何か言い訳を考えないと。
「いや、あの、私なんて部活やってないにも関わらず、勉強についていけてないのに、先輩はスゴイなぁと思って」
「ああ、まぁ、高校生活は一度キリだからさぁ、勉強だけじゃつまらないでしょ?」
「ええ、まぁ」
「どうせうちの学校は正月の選手権が狙えるようなレベルじゃないからさぁ、インターハイの予選がラストゲームになると思う。それが終わったら部活は引退して、勉強一色で頑張るつもりなんだ」
先輩が微笑む。
もうマジで死にそうなくらい、より一層先輩の事が好きになってしまった。
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