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「この辺りは全部身内なんだよね」
「はぁ……？」
「中大兄皇子が即位して天智天皇になるんだけど、彼が死んだあとで彼の弟の天武天皇と息子の大友皇子が政権を取り合って戦うんだ。これが壬申の乱」
「ああ、名前は聞いたことがあります」
「でね、弟の天武天皇が勝って天皇になるんだけど、その次の天皇が持統天皇。この人は女性で、天武天皇の奥さんだった人なんだけど、父親は中大兄皇子なんだ」
「え？」
「つまり伯父さんと姪っ子の関係」
「それって近親相姦とかですよね？」
「うん。三親等だから今の法律じゃ結婚は出来ない。だけど当時は片方の親が違えば、兄妹でも結婚が出来たんだって」
「兄妹で結婚……」
じゃ、じゃ、じゃあ、この時代だったら、私も先輩と結婚出来たんだ。
「まぁ今じゃ、血が繋がってなくても、養子縁組をしただけで結婚は出来なくなるらしいから、俺と季菜ちゃんも結婚は出来なくなっちゃうね」
先輩が微笑んだ瞬間、また私の胸が痛んだ。
どんなに好きになっても、結婚出来ない関係。
先輩とこんなに距離が縮まったのに、男女の関係ということで言えば、死ぬほど離れてしまった。
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