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そして引っ越しを翌日に控えた私とお父さんは、荷物の片づけに追われていた。
「ねぇお父さん」
「何だ?」
「瑞希さんちってマンションだから、仏壇とかは持って行けないのかな?」
うちの仏壇って大きいから、収納が少なくて間取りの狭いマンションに持って行くのはどうかと思ったのだ。
それに私たちにとっては大事なお祖父ちゃんやお母さんも、瑞希さんたちにとっては赤の他人だし……。
「それは大丈夫だよ」
「そうなの?」
「この前源之助くんがうちに来ただろ」
「うん」
「そのとき色々話したんだけど、最後に彼が仏壇に線香をあげさせてほしいって言い出してね」
「えっ、そんなことがあったの?」
「ああ、それでそのときに、うちは狭いけど仏壇は持ってきてくださいって、言ってくれたんだ」
「そうなんだ」
「どうせ自分は来年には家を出るから、置く場所がなかったら、自分の部屋に置いてくれればいいからって」
先輩……。なんでそんなに良い人なんですか。
「ただ、さすがにこのデカイのはあんまりだから、マンション用の小さいのを注文したんだ」
「そっか」
「じゃあほら、さっさと片づけを終わらせるぞ」
「うん」
私がお風呂に入っている間に、そんなことがあったなんて……。益々先輩の事を好きになっちゃた。
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