好きって言えない

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夕飯が終わると、もうひと踏ん張りすることにした。 自分の部屋に戻ると、先輩もついて来てくれた。 こんな狭いスペースに、先輩と二人きりの時間。幸せ満喫タイムにほっぺが緩みっぱなし。 「先輩有り難うございます」 嬉しくてお礼を言った。 「おいおい、ちょっと待った。今日から俺たち兄妹なんだよ。先輩はおかしいでしょ?」 「あっ、ですよね」 「そうそう」 「じゃあ、何て呼べばいいんですかね?」 「何てって、普通お兄ちゃんだろ」 「ああ、そうか。じゃあ……お兄ちゃん」 「うわぁ~~~~」 「えっ、何ですか?」 「いや、もう一回呼んでみて」 「え?」 「いいから、ほら」 「は、はぁ……。お兄ちゃん」 「うわぁ~~~感動」 「え?」 「俺さぁ、ずっと季菜ちゃんみたいな可愛い妹が欲しくてさぁ、お兄ちゃんなんて呼んでもらえるのが、もう、ずっと夢だったんだ」 人は見かけによらずって言うか……。先輩にそんな一面があったなんて……。顔をデレデレにしている先輩は、いつもの私のイメージからは、遠くかけ離れた状態だった。
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