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「え~~~ズルイじゃないのよ」
えっ……。ズルイ? ズルイって言ったの?
「私だって季菜ちゃんにお母さんって呼んでほしいのに」
「悪いけど今は俺の時間だから、後にしてくれ」
「何よ! アナタはもう何回も言ってもらったんでしょ? 今度は私の番よ」
私っていったい何?
「ねぇ季菜ちゃん」
「はい」
「私ね。こんな息子じゃなくて、アナタみたいな娘がずっと欲しかったの」
「は、はぁ……」
「娘にママって呼んでもらって、一緒に買い物に行くのとかに、ずっと憧れてたの」
「そうですか」
「季菜ちゃんは本当のお母さんのことを、何て呼んでたの?」
「えっ……。普通にお母さんですけど」
「そう。じゃあ、お母さんは、今まで通り季菜ちゃんのお母さんってことで、私の事はママって呼んでもらえないかしら」
「はぁ……」
「何がママだよ。いい歳して」
「うるさいわね。アンタは黙ってなさい! ねぇ、季菜ちゃんダメ?」
「全然ダメじゃありませんけど」
「じゃあ呼んでみて」
「はぁ……。ママ」
「うわぁああ~~~感動~~~~」
もう、この親子本当にソックリだよ。
私は心の中で笑ってしまった。
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