好きって言えない

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「オマエさぁ、そんなことばっかり言ってるから、悠木と揉めるんだよ」 「うるせぇよ」 えっ、悠木先輩と揉めたって何で? 「コイツさぁ、カノジョの前で、季菜はカワイイ。季菜はカワイイばっかり言ってるからさぁ、カノジョがキレちゃって、私と妹とどっちが大切なのよってさぁ」 「えっ、そうなんですか?」 「うん。だから将来、コイツが悠木と結婚したら、嫁小姑戦争は避けられないね」 「ええっ、そんなぁ」 「大丈夫だよ季菜ちゃん。俺と結婚すれば、俺がちゃんと間を取り持ってあげるから」 沼澤先輩が嬉しそうに微笑む。 「テメェ、マジでぶっ殺すぞ」 「うひゃ、源ちゃん怖~い」 「もう良いから、俺の部屋に行くぞ」 「俺はここにいるから、オマエ一人で行けよ」 「ふざけるな。ほら行くぞ」 「ちっ、しょうがねぇ。じゃあね季菜ちゃん。今度デートしようね」 沼澤先輩は嬉しそうに手を降って、部屋から出ていく。 お兄ちゃんが学校で、私のことを自慢していたなんて。 しかも、悠木先輩にまで、私のことをカワイイって言ったなんて……。 嬉しくて堪らなかった。
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