好きって言えない

学校帰りにいつものスーパーに立ち寄る。

昨日は麻婆豆腐だったから、今夜は何にしようかな？

あっ、玉ねぎが安いや。後は……。

お母さんが死んでもうすぐ五年。中学に上がった時から、私が料理を作り始めた。

毎日料理してるっていうと、スゴイと友達は言うけど、料理といってもお肉と野菜を切って焼いて、市販の調味料と混ぜるだけというのがメイン。

それに惣菜も美味しいのをいっぱい売ってるし、たまにはレトルト食品を使ったり、お弁当を買ったりすることもあるから、そんなに大変だと思ったことはない。

いずれは本格的な料理も作れるようになりたいとは思うけど、勉強もしなきゃならないし、友達との付き合いもおざなりに出来ないから、そこまで時間がないのだ。

と、一応言い訳をしておこう。

お父さんが新しいお母さんをもらってくれたら、かなり自分の時間が増えるんだけど……。

もちろんお母さんのことは今でも大好きだし、心の中では一生忘れることのできない存在だけど、私とお父さんはまだまだ長い人生を歩んでいかなければならないのだから、もしお父さんが家事をしてくれる人と再婚してくれるなら、反対なんてしないのに……。

去年、受験生だったときは、実は毎日そんなことを考えていた。